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男山本店


Office Building
震災直後の本店
1912年に創業し,昭和6年頃の建設で昭和初期の景観を現代まで伝えてきた宮城県気仙沼市の男山本店の本社3階建ての建物は,平成15年に国の有形文化財に登録されていたが,津波により乗り上げた船と衝突し,倒壊した。材料を保管していた倉庫も流されたが,酒造所の酒蔵は高い場所にあったため,津波は酒蔵の入り口から数メートルのところで止まり,酒蔵の設備と酒を製造・貯蔵するタンクは被災を免れた。ここにあって被害を受けなかった生産設備により,現在生産,出荷を行っている。

地震当時,酒蔵には発酵中の日本酒「蒼天伝」のもろみがタンク二つ分あった。発酵中のもろみ二つを守るために,菅原社長は2人の従業員を連れて震災の翌朝から酒蔵へ行き,電気,水道,ガスの供給が停止した中で残っていた氷や電池式の温度計を使い作業を続けた。発酵中は温度管理が重要だからだ。

震災後10日が過ぎ予定より早くもろみを搾るタイミングがきた。もろみを搾るためには機械を動かすための電気と洗浄などに使う水が必要だったが、電気も水道もまだ回復していない状況だった。これ以上発酵させるとまともな酒は造れない、氷も尽き、電気も水もこない中、どうしようかと思いを巡らせながら町中を歩いているときに、地元の人々の協力もあり,菅原社長は大型発電機を見つけた。さらに発電機を運ぶトラック、動かすための燃料や電気の配線、さらには水など。知り合いが協力してくれ、なんとか発電機を設置して22日に1本目、24日に2本目の酒を搾ることができた。
 
当初,菅原氏は,街全体が被災し,多くの人が全てを失った中、まだ町には電気も水も通っていない中で、ジャンジャン発電機と水を使って酒を搾ることにすごく抵抗があったという。しかし協力してくれた人すべてが「今回の津波で多くの産業が破壊され,地元の産品はほとんど失ってしまった。酒蔵が幸い残ったのだから,必ず続けて欲しい」という言葉をかけてくれて、その言葉に後押しされて搾ることを決断したという。

震災後,男山本店のニュースは多くの日本のメディアに取り上げられ,同酒造所を支援しようと遠隔地からも注文が相次いだ。菅原氏は従業員に対し,この酒は,会社のために造っているのではなく,気仙沼市の人達のために造っているのだと話している。そして、生産を安定させより多くの地元住民を雇用し,気仙沼を発信し続けることが生き残った生産設備の使命だとも話している。菅原氏は今後,支援者に頼るのではなく,新しい販路も開拓しつつ,会社を維持し続けたいと考えている。
brewery
男山本店の酒造所

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