マーティン・ルーサー・キング・ジュニア歴史地区( Martin Luther King Jr. National Historic Site)(8月28日)
8月28日はキング牧師による歴史的演説「私には夢がある(I have a dream)」及びワシントン大行進からちょうど50周年です。キング牧師がアトランタ出身であることは周知の事実ですが、ダウンタウンにあるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア歴史地区に足を運ばれましたでしょうか。1964年にノーベル平和賞を受賞し、黒人解放の父と呼ばれたキング牧師は、同歴史地区があるスイート・オーバーン(Sweet Auburn)で生まれました。同歴史地区には学ぶことが多く、丸一日キング牧師の生涯に浸ることが出来ます。それでは見学施設をご紹介致します。
ビジターセンター
キング牧師の生涯を映像や模型を使って展示しています。ひとつひとつのセクションがパネルとともに映像で説明されており、公民権運動に生きたキング牧師の人生をじっくりと学ぶことが出来ます。
また、キング牧師の生涯をまとめた映画(New Time, New Voice(28分)、Children of Courage(15分))も頻繁に上映されており、有名な「I have a dream」の演説などを音声で味わえます。映画を見た後に展示場を見学することで、映画に登場したシーンについて知識を更に深めることが出来るので、おすすめ致します。
キングセンター
ビジターセンターの向かい側に位置するキングセンターには、キング牧師の墓石、永遠の火(エターナル・フレーム)、フリーダムホール等があります。フリーダム・ホールは3つの部屋に分かれており、それぞれキング牧師及びコレッタ夫人、マハトマ・ガンジー、ローザ・パークスに関して展示しています。キング牧師は徹底した「非暴力主義」をもって公民権運動に携わりました。その考えはインドのマハトマ・ガンディーに啓蒙されたもので、その尊敬の深さは、自宅の居間にガンディーの肖像画を飾るほどでした。キング牧師夫妻は「非暴力主義」について一年間インドで勉強したということです。ガンディーのために展示室が一部屋設けられています。また、1955年、バスに乗っていたローザ・パークスが白人の運転手に白人に席を譲るように指示されたものの、これを拒否したために逮捕されたという事件が起こり、それをきっかけにキング牧師はモンゴメリ・バス・ボイコット事件を先導しました。そのきっかけとなったローザ・パークス氏についてもキングセンターで学ぶことが出来ます。フリーダム・ホールの外には大きなプールがあり、その中にキング牧師及びコレッタ夫人の墓石があります。1994年の天皇陛下訪米の際、同地を訪問されました。
エベニザー・バプティスト教会
キング牧師は同教会で洗礼を受け、19歳で牧師として任命され、その後父親と共同で牧師を務め、1968年に暗殺されるまで同職を続けました。キング牧師の母親は1974年、向かって右側のオルガンを演奏中、若い黒人の男性に射殺されました。セルフツアーで、開館時間は月曜日~土曜日は午前9時から午後5時(夏時間実施機関は午後6時)、日曜日は午後1時から午後5時(夏時間実施機関は午後6時)です。現在は向かいのビジターセンター横に新しいエベニザー・バプティスト教会があり、毎週日曜礼拝が行われています。
キング牧師の生家
1929年1月15日、キング牧師は誕生しました。その後、祖父母、父母、兄弟等と共に、同家で12歳まで過ごしました。1941年にBoulevard通り(ダウンタウン)に引っ越しをしたため、生家を貸しに出しました。
入ってすぐ左側の客間では、キング兄弟がよくピアノの練習をしていました。ただ、ピアノの練習は必ずしも楽しいものではなかったようです。鍵盤を間違うと先生から指を叩かれたのでした。キング牧師の弟はあまりにも嫌だったので、ピアノをハンマーで壊そうとしたそうです。一家は音楽を愛し、日曜の夜には賛美歌を歌い楽しみました。隣の居間は夜の憩いの場だったようで、家族でゲームをしたりラジオを聴いたりしていました。中でもモノポリーはキング牧師の得意な遊びで、家族内でチャンピオンだったようです。ダイニングルームでは、毎晩家族全員で夕食をとっていました。父親はどんなに遅くなったとしても家族に夕食を待たせ、全員で食事を開始するようにしていたそうで、夕食時刻が近づくと、子ども達は窓から父親の帰りを今か今かと待ちわびたそうです。この食事の時間が大人達が子どもの宿題や話し方、文法などを教える時間として使われていたようです。
子ども達にはそれぞれ家事が割り当てられており、キング牧師は裏庭の石炭の入っている物置からバケツで地下へ運び、石炭を炉にくべるのが日課でした。2階にはキング牧師とその弟の寝室、両親の寝室、客用の寝室がありました。寝室前の廊下は時に客用の寝室にもなりました。というのは、まだ人種差別が色濃かった1930年代、アフリカ系アメリカ人はホテルもレストランも使用が許されなかったため、友人や親戚を泊めることも多くあったようです。大切な来客時には、子ども達が自分の部屋を追いやられ、廊下に寝ていました。
実際にツアーに参加し、家の中の様子を見ながらレンジャーによるより細かな説明を聞くと、キング牧師がどのような生活を送っていたかが目に浮かんできます。ツアーは毎日午前10時にスタートし、午後4時30分がラストツアーで、所要時間は30分程です。予約は出来ず、当日現地で申し込みをした順となります。一度のツアーが最大人数15名です。申し込みはビジターセンターで可能です。ツアー終了後、ギフ トショップで解散となります。ここには書籍や記念品グッズ、キング牧師の演説等、品揃えも多く楽しめます。
以上、同地区にある見学施設をご紹介しました。キング牧師について少し予習をされていくとより楽しめる事と思います。
Martin Luther King Jr. National Historic Site
住所:450 Auburn Ave. NE Atlanta, GA 30312
電話:Headquarters / Visitor Center 404-331-5190
開館時間:午前9時~午後5時(生家ツアーは午前10時~午後4時30分、ツアーは30分置き)
料金:入館、パーキング共に無料