ミレニアムゲート(Millennium Gate)訪問
(7月24日)
ミッドタウンを再開発したアトランティックステーションのミレニアムゲートは一際(ひときわ)訪問者の目を引きます。一方で、何故にアトランタの地に古代ローマの凱旋門を再現したモニュメントが建造されたのか、そしてその内部が博物館になっていることを知る日本人は少ないのではないでしょうか。関係者のご厚意を得て調べてみました。
ミレニアムゲートは「National Monuments Foundation」という団体によって2008年に建造されました。団体の創設者であり現在の会長がロドニー・クック・ジュニア(Rodney Mims Cook, Jr.)氏です。クック氏の父君は公民権運動の支援者であり、ジョージア州の下院議員を務めた方です。母君は、現在アトランタ歴史センターに保存されているタリー・スミス農場の移築と保存に尽力された方だそうです。母君の影響でしょうか、クック氏御自身も14歳の時にはフォックス劇場の維持活動に尽力されたとのことで、若き日のクック氏の写真が「IMAGES of America」シリーズの「FOX THEATER」に掲載されています。クック氏は古典派建築の権威であり、1996年の夏のオリンピック開催に際しては市内の「Prince of Wales’s World Athletes Monument」の建造に尽力したことが縁で同じく古典主義者である英国のチャールズ皇太子と親交を深めたとのことです。関係者の説明によれば、アトランタは19世紀には多くの鉄道が集中したことから「南部のゲートシティー」と呼ばれた歴史を持っており、クック氏の古典主義と相まってアトランタの機能を象徴するモニュメントとして凱旋門のデザインとなったとのことです。内部はアトランタ市に貢献した個人に焦点を当てた市の歴史を紹介する展示室と事務所で構成されており、最上階はクック氏の事務所として利用されています。バルコニーからはアトランタの眺望が楽しめます。各種イベントや会合にも利用されているとのことで、一般公開もされていますが訪問の際は予約を取ることが望ましいとのことです。
今年、「IMAGES of America」シリーズとしてクック氏による本が出版されました。アトランタ市内及び近郊の様々な彫像やモニュメントを取り纏めた「ATLANTA’s PARKS AND MONUMENTS」です。街角で見かける多くのモニュメントの写真が掲載されていますので、写真を頼りにモニュメントの由来を確認してみてはいかがでしょうか。アトランタの歴史を学ぶのにとても役立ちます。なお、クック氏は日本の鳥居に興味を持っているとのことです。同じゲートだからでしょうか。ミレニアムゲートに隣接する公園の池に朱塗りの鳥居が出現する日があるかもしれません。