~渡航情報(広域情報)~
テロ事件に関する注意喚起
1.2010年夏から現在までに、世界各地において、以下のように多数の被害者が出る大規模なテロ事件が発生しています。とりわけ、パキスタン、イラク、及びアフガニスタンにおいては、大規模テロ事件が頻繁に発生しています。
(1)2010年10月31日、トルコのイスタンブール市内タクシム広場で自爆テロが発生し、外国人を含む32人以上が負傷しました。また、日本人観光客も被害に遭いました。
(2)2010年12月7日、インド北部のウッタル・プラデーシュ州のヒンドゥー教聖地として、日本人観光客も訪れるバラナシのシトラガードにおいて、宗教儀式の会場付近で爆弾テロ事件が発生し、1人が死亡、外国人を含む少なくとも37人が負傷しました。また、日本人観光客も被害に遭いました。
(3)2010年12月11日、スウェーデンの首都ストックホルム中心部で、クリスマス前の買い物客でにぎわう中、連続して2回の爆発があり、1人が死亡、2人が負傷しました。
(4)2011年1月24日、ロシアの首都モスクワのドモジェドヴォ国際空港で爆発があり、37人が死亡、180人以上が負傷しました。
(5)2011年1月25日、フィリピンのマニラ首都圏マカティ市内の幹線道路上において、路線バスの車内で爆発が発生し、5人が死亡、13人が負傷しました。
(6)パキスタンでは、2010年7月1日にラホール市内の聖者廟における参拝者をねらった連続自爆テロで40人以上が死亡、11月11日にカラチ市内中心部の高級ホテルが建ち並ぶ商業地区にある警察施設を標的としたテロで少なくとも20人が死亡、2011年4月3日にパンジャブ州デラ・ガジ・ハーン郡の聖者廟付近における連続自爆テロで42人が死亡、5月13日にハイバル・パフトゥンハー州シャブカダル地区の辺境警察訓練施設前における連続自爆テロで約70人が死亡、5月22日にカラチの国際空港に近いメヘラン海軍航空基地に対する襲撃立て籠もり事件で少なくとも10人が死亡、等の事件が発生しており、他にも多数の死傷者を出す事件が発生しています。
(7)イラクでは、2010年7月7日にバグダッド北部アザミヤ地区におけるイスラム教シーア派の巡礼団をねらった自爆テロで32人が死亡、8月7日にバスラ市内中心部の市場における連続爆弾テロで43人が死亡、8月25日にバグダッド市内ほかイラク各地における治安当局をねらったとみられる連続自動車爆弾テロで62人以上が死亡、10月31日にバグダッド市内カッラーダ地区の教会人質事件で市民約60人が死亡、11月2日にバグダッド市内14地区のカフェやレストラン付近における連続自動車爆弾テロで90人以上が死亡、2011年5月22日にバグダッド及び近郊都市における16件の爆弾テロで少なくとも18人が死亡、等の事件が発生しており、他にも多数の死傷者を出す事件が発生しています。これら比較的規模の大きな事件の他にも、バグダッドにおいては、小規模な事件が連続して発生するケースもみられます。
(8)アフガニスタンでは、2010年6月9日に南部カンダハール県において結婚披露宴中の自爆テロで40人以上が死亡、2011年2月19日に東部ナンガルハール県ジャララバード市内の銀行内における自爆テロおよび、引き続いて起こった治安部隊との銃撃戦で40人が死亡、2月21日に北東部クンドゥーズ県イマームサーへブ郡の郡庁舎における自爆テロで32人が死亡、3月14日に北東部クンドゥーズ県クンドゥーズ市の国軍兵士リクルートセンターにおける自爆テロで33人以上が死亡、等の事件が発生しており、他にも多数の死傷者を出す事件が発生しています。
上記事例は、過去1年間に発生した特に大きなテロ事件のみを列挙したものです。この他に、ギリシャ、メキシコなどでも、テロ事件等が発生し死傷者が出ています。また、米国でも、2010年11月26日、オレゴン州ポートランド中心部の広場で毎年恒例のクリスマスツリー点灯式をねらった自動車爆弾によるテロ未遂事案が発生していますので、注意が必要です。
2.これらの事件については、現地治安当局による捜査が継続中のものもあり、必ずしもその全貌は明らかになっていません。事件には各々異なる背景があるものと考えられます。このため、このようなテロ事件に巻き込まれないためには、各国・地域において過去に起こった事件の特徴、テロ組織の動向、政治・社会情勢等を個別に分析し対応する必要があります。
外務省では、「海外安全ホームページ」( http://www.anzen.mofa.go.jp/ )において「スポット情報」、「危険情報」等を掲載し、世界各国・地域毎のテロ情勢や注意事項をお知らせしていますので、海外に渡航される方におかれては、渡航前にこれら情報を参照してください。
3.海外渡航に際しての注意事項は、各国・地域毎に異なります。しかしながら、テロについては下記のとおり注意すべき一般的事項もあります。ついては、これらを参考にしつつ、その時々に応じた適切な安全対策を講じるよう心掛けてください。
(1)市場や繁華街、観光スポット等の大勢の人が集まる場所がテロの標的となった事例(例:上記1.(1)、(2)及び(3)のほか、2011年4月28日、モロッコのマラケシュ旧市街に位置し、ユネスコ世界遺産にも登録されている広場のカフェで爆発事件が発生し、17人が死亡、23人以上が負傷した事件。)
過去に市場や繁華街、観光スポット等大勢の人が集まる場所がねらわれた地域では、人混みや外国人が多く集まる場所にはできる限り近づかない、また、爆発によるガラス等の飛散に係る被害を防止するためにガラスを多く使用した建造物の周辺はなるべく通行しないようにする、建物内では窓等開口部からなるべく離れた場所に身を置くなどの注意が必要です。また、事件が夜間に発生することもありますので、夜間、特に深夜の外出は控えるなど慎重な行動をとることも重要です。現地の治安情勢をよりよく把握するためには、現地ガイドや旅行代理店とよく意思疎通することが必要です。
(2)宗教関連施設や宗教関連行事がテロの標的となった事例(例:上記1.(2)のほか、2010年7月15日にイラン南東部シスタン・バルチスタン州の州都ザヘダンのイスラム教シーア派モスク付近で連続爆弾テロが発生し、27人が死亡、300人以上が負傷した事件。)
過去に宗教関連施設や宗教関連行事がねらわれた地域では、宗教関連施設には近づかない、また、大規模な宗教関連行事が予定されている場合、事前に開催日程を確認し、その前後の期間中は、宗教施設・行事及び集会・デモ等人の多く集まる場所には近づかないようにする、また、最新の情報にも留意しつつ、慎重な行動を心掛け、個々人における安全対策・危機回避に十分注意してください。個別の国の事情については、「スポット情報」、「危険情報」等でお知らせしていますので、そちらも併せて参照してください。
(3)公共交通機関がテロの標的になった事例(例:上記1.(4)、(5)のほか、2011年4月11日にベラルーシの首都ミンスク中心部の地下鉄駅ホームで爆弾が爆発し、十数人が死亡、200人近くが負傷した事件。)
欧米諸国では、公共交通機関の警戒が強化されてきています。公共交通機関に対する注意事項については、国により事情が異なるため、特に注意を要する事例については、「スポット情報」や「危険情報」等で個別にお知らせしていますので、そちらも併せて参照してください。
(4)ホテルがテロの標的になった事例(例:2011年5月7日から8日にかけてアフガニスタン南部カンダハール県カンダハール市において、武力勢力が政府関係庁舎への攻撃を行った後、ホテルを占拠するなどし、治安部隊と銃撃戦になり、少なくとも30人が死亡し、40人が負傷した事件。)
海外旅行の際には、特に、過去にホテルがテロリストにねらわれた及びねらわれるおそれが十分考えられる地域を含め、できる限り安全対策がしっかりとしたホテルを選ぶことが必要です。その上で、宿泊中はホテルの入口やフロント等不特定多数の人の立入りが容易な所にはできるだけ留まらないなどの注意が必要です。また、大きな震動や音を感知した場合には、行動を慎重にし、周りの状況を冷静に把握する必要があります。個別の国の事情については、「スポット情報」、「危険情報」等でお知らせしていますので、そちらも併せて参照してください。
(5)主要欧米・国際機関関連施設等がテロの標的になった事例(例:2010年10月23日にアフガニスタン西部ヘラート県グザラ郡で、武装グループが自動車を使って国連アフガニスタン支援ミッションヘラート事務所のゲートへ自爆攻撃を行った事件。)
過去に欧米諸国や国際機関等の関連施設がねらわれた及びねらわれるおそれが十分考えられる地域では、やむを得ない場合を除き、大使館等の欧米関連施設や国際機関の事務所にはできる限り近づかない等の注意が必要です。個別の国の事情については、「スポット情報」、「危険情報」等でお知らせしていますので、そちらも併せて参照してください。
(6)政府機関、軍・治安関連施設がテロの標的になった事例(例:パキスタン、イラク、及びアフガニスタンにおける政府関係庁舎、治安機関等付近での爆発事件のほか、2010年6月19日、イエメン南部の港湾都市アデンにある同国治安機関が武装集団により銃撃され、治安部隊との間で銃撃戦になり少なくとも11人が死亡、12人が負傷した事件。)
過去に政府機関、軍・治安関連施設がねらわれた及びねらわれるおそれが十分考えられる地域では、やむを得ない場合を除き、省庁等の政府関連施設、軍基地や警察署等の治安関連施設にはできる限り近づかないなどの注意が必要です。こういった施設については、国や地域によって事情が異なるため、関連の「スポット情報」、「危険情報」等も併せて参照してください。
4.上記に記載した場所は、過去にテロの標的ともなっており特段の注意を要しますが、一方で、テロ事件はいつどこで起こるかを予測することは困難であり、普段から周囲の状況に気を配り、不審者・不審物に常に注意を払うことが重要です(例:不審な荷物、自爆テロ犯にありうる不自然な厚着・行動、特異な印象等)。
5.また、万一に備え、海外渡航前には家族や友人、職場の同僚等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくとともに、不測の事態に遭遇した際には、以下の点に気をつけるよう心掛けてください。
(1)爆発音を聞いたらまずその場に伏せ、戸棚や天井からの落下物が想定される場合には、机等頑丈な物の下にもぐり込んでください。また、特にビル街での爆発では、ビルのガラスが割れ、ガラス片が落下してくることが予想されますので、ひさし等の下に隠れるようにしてください。
(2)第一の爆発に続き、現場に集まった多数の者を殺傷することを意図した第二の爆発が発生することがありますので、事件発生現場へ近づくこと等は控え、現場から速やかに離れてください。なお、避難する際は、落ち着いて整然と行ってください。また、有害物質を吸い込まないようハンカチ等(濡れたものが望ましい。)で口や鼻を押さえながら避難してください。
(3)爆発により瓦礫等の下敷きになった場合には、まず落ち着き、体力の温存にも心掛けつつ、有害物質を吸い込まないようハンカチ等(濡れたものが望ましい。)で口や鼻を覆い、パイプ等周囲の物を叩く等して、救援隊に居場所が分かるようにしてください。
(4)テロ事件等に遭遇した場合には、現地の日本国大使館、総領事館又は所属企業・団体に速やかに連絡を取るようお願いします。そのためには、有用な緊急連絡先のリストを持参するか、あるいは、海外で使用可能な携帯電話に登録しておくことをお勧めします。
6.テロが発生する危険性が高い国に在住の方は、普段から以下の点を参考に安全対策を再検討してください。
(1)テロに関するニュース等から、できる限り正確に治安情勢をフォローしてください。
(2)入居アパート、オフィスビル及び居住区域の警備体制を再確認してください。
(3)緊急時の連絡方法を再確認し、日頃から携帯電話の電源を切らないよう(電池が切れないよう)注意してください。
(4)爆風の被害をできるだけ抑えるため、ガラス窓等に飛散防止フィルムを貼り付けるとともに、窓のカーテンはできるだけ閉めてください。
(5)爆発物飛来防止のため、窓に金網又は幅の狭い鉄格子を取り付けてください。
7.なお、その他テロ事件に関して注意すべきこと等は、外務省のパンフレット「海外旅行のテロ・誘拐対策」、「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A」を海外安全ホームページ( http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph.html )に掲載していますので、そちらも参照してください。
(問い合わせ先)
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3679
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐に関する問い合わせを除く)
電話:(代表)03-3580-3311 (内線) 5138
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省 海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(携帯版)