日米社会保障協定(一時派遣の延長問題)について
Q.日本からの派遣社員はどちらの社会保障制度に加入すればよいのですか?
A.協定の目的の一つは社会保障制度の保険料の二重負担を無くすことですので、協定の対象者は、原則として、就労している国(米国)の社会保障制度のみに加入します。しかしながら一時的派遣(5年以内)の場合は、例外として派遣国(日本)の社会保障制度に引き続き加入し、米国の制度への加入が免除されます。
Q.派遣が5年以内に終了する見込みであったにも関わらず、5年を超えそうな場合はどうすればよいでしょうか?
A.1.予見できない事情等により派遣期間が5年を超える場合は、申請により日本の社会保障制度に引き続き加入することができることがあります。申請の際には、派遣される方の具体的な派遣期間の延長理由が必要であり、日米両国が申請内容の妥当性について審査を行います。派遣期間の延長については、3年までの延長と更にもう1年延長して3年から4年までの2段階となっています。3年までの延長については、必然的な延長理由が確認できれば、日米とも柔軟に対応することとしています。
その延長理由の例としては、
①米国での就労延長の理由が、予見不可能であり、かつ、単に米国の適用免除を延長する目的でないことが明らかな場合
②あるプロジェクトに関わっていたところ、完成が予期せず遅延した場合
③就学年齢の子供がおり、就学年の終了まで米国にとどまりたいといった場合です。
2.3年から4年までの延長については、予見不可能なことに加え、就労期間の延長が企業または保険者もしくはその家族の重大な困難を避けるために必要な場合とされています。
その延長理由の例としては、
①予定していた後任が、予期せず辞職または障害に陥るもしくは亡くなり、新たな後任が指名、準備されるまで時間を要する場合
②企業が他の企業に買収もしくは再編され、その手続のために、派遣されている人が不可欠であるといった場合です。
なお、上記の考え方は、事業所で就労する方だけではなく、自営業者の方も基本的に同様の取扱いとなっております。
Q.免除延長の場合社会保障協定を締結している他国のケースは参考になるのでしょうか?
A.他国の例は国により方針が異なるので参考にはなりません。
Q.具体的な申請方法はどうすれば良いのでしょうか?
A.原則、派遣延長の前に、派遣元事務所が、その管轄の年金事務所に「厚生年金保険、健康保険、船員保険適用証明期間継続延長申請書」を提出します。
Q.審査の期間はどのくらいでしょうか?
A.米国と協議する必要があることや、多数の申請が見込まれることから、適用証明書交付まで相応の時間(1ヶ月以上)がかかることが想定されています。そのため、派遣される方が、米国での就労が当初の就労開始日から5年を超えることが判明した時点において、年金事務所へ申請を行うことを推奨します。承認されれば「適用証明書」が更新されます。延長が認められればこれまで通り、日本の社会保障制度に加入を続けることが出来ます。
Q.5年を超えるケースで、免除の延長申請を行わなかった場合、日米両方の社会保障制度に加入すればよいのでしょうか?
A.この場合、5年を過ぎたら日本の社会保障制度を脱退し、米国の社会保障制度に加入することとなります。
Q.一時的派遣(5年以内)及び延長期間の終了した場合、なにか日本に届ける必要がありますか?
A.特段の届けの必要はありません。
Q.一時的な派遣期間が終了し、米国の社会保障制度に加入する場合は、日本の年金事務所に何か手続きは必要ですか?
A.その場合は、派遣元事業所を管轄する年金事務所に対して厚生年金の資格喪失の届出を行います。この場合、将来の日本の年金の増額を目的に国民年金に任意加入することが可能です。
Q.延長に関する問合わせ先は?
A.派遣元事業所を管轄する年金事務所です。
Q.一時的派遣(5年以内)を終えて帰国したが、業務上の必要から再度米国に派遣となった場合、何かの制限等注意点がありますか?
A.米国との協定では、インターバル規定(一方の国から他国への派遣が2回目以降の場合は、直近の一時派遣による他国での就労期間が終了した時点から次の一時派遣による就労期間が開始する時点までの間に、両国で協議した年月が経過していることが必要)が設けられていません。1回目の一時派遣の終了後の日本への帰国が、新たに5年の相手国制度の適用免除を受けることが目的ではないことが必要です。
(了)