「まさか? このくらいで逮捕?」

 

 日米の文化や習慣の違いによって注意しなければならないことはいろいろありますが、

警察官との応対もその一つです。



警察官と応対する際の一般的な注意

○ 興奮したり、悪態をついたりしないこと

 警察官から何らかの違反をとがめられたり、指示を受けたりした場合、不服があっても、

決して興奮したり、悪態をついてはいけません。納得がいかないことがあれば、冷静に話

をしましょう。また、後日法廷で異議を述べる機会もあります。明らかに非協力的な態度に

出ると(例えば、基本的な質問に答えなかったり、話しても無駄だと考えて、勝手にその場

を離れてしまう等)、状況によっては、罪証隠滅のおそれありとして、逮捕されることがあり

ます。

 

○ 警察官の現場指示には、十分注意すること

 

 警察官の指示を見逃したために、警察官が険しい顔で、大声で運転者に相対している光

景を見ることがあります。指示を見逃さないよう、十分に注意しましょう。

 

パトカーに停車を命じられた場合について

 

○ アメリカで、パトカーが青色のランプを点滅させてあなたの車の後ろについたら、「停車し

 なさい」という意味です。速やかに道路右端に寄って止まりましょう。



○ パトカーに停車を命じられたら、警察官があなたのところに来るまでじっと待っていなけれ

 ばなりません。警察官がなかなか来ないからといって、自分から車を降りてパトカーに近寄っ

 て行ったり、その場から走り去ってはいけません。あなたが停車してから、警察官があなたの

 ところまで来て質問するまで、概ね5分ぐらいはかかります。場合によってはそれ以上かかる

 ことがあります。

 ※ 警察官はまず、あなたのところに来るまで、時間、場所、あなたの車の車種、登録番号、

   違反態様、車両手配の有無等について、無線やコンピューターを使いながら、報告や照

   会を行います。アメリカでは、車両を停車させて職務質問する際に、相手から銃で撃たれ

   て殉職する事案が多いため、職務質問の前に、必要な情報をすべて無線や車載コンピュ

   ーターで本部に送って、確認することになっています。

 

アトランタ総領事館管内で実際に問題になった具体的な例

 警察官をめぐって実際にあった例をいくつか紹介します。どれも、日本であればさほど問題に

ならなかったと思われるケースですが、アメリカでは大問題になってしまいました。十分気を付け

ましょう。

事例1

 無意識にふらつき運転をしたら、覆面パトカーに停車を求められて私服の女性刑事に職務質

問された。その場はそれで済んだが、走り出して間もなく、別の覆面パトカーに停車を求められ

た。今度は、男性刑事からいきなり銃を突きつけられ、車から降ろされて手錠をかけられた。所

持品及び車内検査の上、問題なしとしてその場で解放された。
検 討
 
状況から推察するに、薬物の影響を受けていると疑われた可能性があります。そうであれば、

女性刑事が一人で応対するのは危険と判断し、すぐに応援を求めたことが考えられます。アメ

リカでは、ふらつき運転から、酒酔いや過労のみならず、麻薬中毒が疑われます。車両の運転

者に職務質問する際、銃で撃たれて殉職することが多いため、質問に先立っていきなり銃を突

きつけられ、手錠をかけられるという事態となった可能性があります。

 

事例2

 警察官が交通整理をしている道路で、警察官の制止を無視して道路を横断したら、逮捕され

た。

検 討

 目の前に警察官がいても、「道を渡る」程度の軽い気持ちで、つい横断してしまったようです。

日本ならば、警察官にピピッと笛を鳴らされて睨まれるか、お説教されたぐらいで済んだのかも

知れませんが、アメリカでは警察官の指示に従わなかったとして逮捕の対象になり得ます。

 

事例3

 深夜、駅で酔っぱらって寝込んだところを警察官から声をかけられた。うるさがって手で払いの

けようとしたら、逮捕された。

検 討

 酔っ払って駅で寝込んでしまったお父さんに、警察官や駅員さんが、肩を叩きながら「もしもし」

と声をかけている光景。日本の大都市の駅では、よくある平和的な光景かも知れません。しかし、

アメリカでは、公衆の前で酔っ払って正常な行動がとれなくなること自体が犯罪となります。まして、

暴力的と思われる行動に出れば、間違いなく逮捕されます。

 

その他、アメリカでは警察沙汰となる事

事例1

 幼い子供を連れて買い物中、子供がぐずって言うことを聞かないので、「静かにしなさい」と言い

ながら子供をピシャリと叩いた。店から通報されて、駆けつけた警察官に幼児虐待容疑で逮捕さ

れた。

検 討
 
これも日本ではよく見られそうな光景ですが、アメリカでは、幼児虐待は大きな社会問題の一つ

になっています。ですから、かなり厳しい対応が取られているのです。

 

事例2

 幼い子供を連れて買い物に出かけ、子供が寝てしまったので、子供を車内に寝かせたまま買

い物に出た。約1時間後に買い物を終えて車に戻ったら、警察官が子供を車から出しており、親

は幼児放置により逮捕された。

検 討

 日本では、母親が子供を車内に寝かせたままパチンコに興じ、その間子供が脱水症状を起こ

して死亡するという事件がありました。アメリカでは、たとえ大事に至らなくても、この種の事案は

厳しく取り締まられ、親は逮捕され、子供は公的機関に保護されることになります。

 

事例3

 夫婦げんかを隣人に通報され、警察官が来た。夫婦は、互いに仲直りした振りをしたが、妻の

顔には明らかに殴られた痕が認められたため、夫は傷害容疑で現行犯逮捕された。妻は、夫を

逮捕しないでくれと懇願したが、聞き入れられなかった。

検 討

 日本でも、警察官が夫婦げんかの仲裁に入ることはよくありますが、逮捕に至ることは希です。

しかし、アメリカでは、通報があって警察官が臨場した場合、一方に暴力の痕跡があれば、相手

方は必ず逮捕されます。事例では夫が逮捕されましたが、妻が夫に引っ掻き傷を負わせたり、

跡が残るほど腕を強く握った等により逮捕されたという事案も見られます。



 

 

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